黄昏の船着き場にて

風の吹くまま気の向くままに

海道をスカートで駆ける―尾道

「いい加減、旅行のことをどこかにまとめたら?」そう言われ続けてずいぶん経った。

自分でもそろそろ、なにか目に見える形で旅行の記憶を保存しておきたいという気持ちがあり、このブログを開設するに至った。手始めに8月29~30日の尾道でのことを書こうと思う。

 

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尾道で初めて撮った写真。趣のある「大和湯」】

 

友人と山口で6日ほど過ごした後、私は1泊、友人は日帰りのつもりで尾道へやってきた。7月の記録的な豪雨の影響でJR呉線がダイヤ通りに動いていない状態のため、そごうから出るバスに乗って尾道を目指した。

 

尾道駅でバスを降りると、海の香りとどこかノスタルジックな街並みに胸が弾んだのを覚えている。広々とした商店街、チャリ通学の高校生、欠伸をする猫。尾道の猫の多さは思い出深い。

 

ちょうど昼過ぎでお腹が空いていたので、尾道ラーメンで有名な「朱華園」さんで食べようと思ったのだが、あいにく売り切れでありつけなかった。しょうがないから、そのまま事前に予約していた宿、フジホステルへ向かった。

 

www.booking.com

 

フレンドリーなオーナーさんで、尾道に初めて来たことを伝えると、マップを出して丁寧に周辺のお店を教えてくれた。ベッドやトイレも清潔で、気持ちよく使うことが出来る良いゲストハウスだと思う。日帰りのつもりで来た友人も気が変わり、一緒に宿泊することになった。

翌日の予定について、アクティブな友人がしまなみ海道をサイクリングしたいと言い出したので、運動が苦手な私だがせっかくなので同行することにした。

 

荷物を置き、オーナーさんに教えていただいた「一楽」という中華料理屋さんでうめだいこんラーメンと餃子を食べ、明日の朝ご飯用に巨大なちまきを買った。

夏の終わりの長い夜は、どこか気分を高揚させる。それが旅先ならなおさらだ。

ふと、サークルの先輩が尾道に変わったバーがあると言っていたのを思い出し、勇気を出して夜の街に繰り出した。

 

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 【「洋酒喫茶ロダンの店内。貝殻と剥製が所狭しと並ぶ店内は博物館のようだ】

 

7時を少し過ぎたくらいで、店には私たちが一番乗りだった。酒があまり飲めない私は、「度数が低くて、炭酸じゃないやつで」とオーダー。作ってくれたのはソルティドッグだった。ピンク色にサクランボが乗ったカクテルを持つ友人とささやかな乾杯。お店の奥さんに昔の尾道の話やこの店の成り立ちについて話していただいた。柔らかく話しやすい雰囲気の方で、ゆっくりと楽しい時間を過ごすことが出来た。

 

バーを後にして、近場の銭湯へ。宿のオーナーさんに割引券とタオルを貸していただいたため、非常に助かった。長旅の荷物はほとんど送ってしまっていて、大きなタオルも持っていなかったからだ。

銭湯のサウナでは大学で英語の教師をしているという方と(主に友人が)話し、「pick pocket」という英語を覚えた。スリのことである。

 

酒も回っていい感じの疲労感に包まれ、その日は心地よく眠りについた。

 

2日目はちまきを食べて、早朝からレンタルサイクルへ向かった。途中で仕事をリタイアし旅行を趣味にしているおじさんと知り合い、途中まで共に行動した。

 

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しまなみ海道をサイクリング中撮った写真。どこの橋かは失念】

 

気持ちの良い天気で、サイクリングにはうってつけの日だった。 小中と自転車通学のうえ元陸上部の友人には早々に置いて行かれたが、自分のペースでチャリをこぎ続けた。ひとつ問題だったのは、サイクリングの予定がなかったためスカートしか持ってきていなかったことだ。おかげで慣れない自転車をスカートでこぐ羽目になった。今となっては馬鹿らしくていい思い出である。

 

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【しまなみドルチェ。確か塩バニラとレモンのダブルだったような】

 

なんとか生口島までは辿り着いたが、さすがに運動嫌いなオタクの私にはここが限界と見えて、しばらくジェラートを食べてぼーっとした後、チャリをこいで定食屋に入った。

昼食後、もう疲れて一歩も歩きたくなかったが、フェリーの時間までやることもないので、近場にあった耕三寺に入った。

 瀬戸田 耕三寺博物館

 これがめちゃくちゃ立派なお寺で、仏教に関心のある私としてはとても楽しかった。とくに思い出深いのが潮聲閣だ。この潮聲閣という建物は、耕三和上が年老いた母を労わるために建てた邸宅である。その辺で掃除をしていたおじさんが、一室一室説明してくれた。

 

 

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 【潮聲閣のある一室。眺めの良い洋室に舶来の家具が品よく並べられていた】

 

洋室和室ともにあるのだが、どの部屋も凝った作りで、耕三和上の母への強い感謝の念が感じられた。普段潮聲閣へ入るには入場料が必要なのだが、この日は震災復興キャンペーンで無料で入れた。こんな素晴らしい建築物を無料で見せていただけて感激である。

 

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【大きな丸いステンドグラス。これも海を渡ってきたものだそう】

 

境内を満喫した後は、博物館の方で百鬼夜行の絵巻や仏像などを見物し、フェリーで島を後にした。

 

まとめとして、行き当たりばったりで弾丸旅行のわりに充実した時間を過ごすことが出来たと思う。しかし、尾道は1泊じゃ回り切れないほど魅力にあふれる街であることが分かったため、また近いうちに、今度は3泊くらいしたいなと思う。そして今度こそラーメンを食べたい。